「パクリ」と「著作権侵害」は一緒?
2018年7月14日 著作権
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平成30年の芥川賞候補作となっている北条裕子氏の「美しい顔」。
この作品中の表現について、他の複数のノンフィクション作品中の表現と類似しているという指摘が出ています。
そこで、同作が受賞した群像新人文学賞を主催し、『群像』に同作を掲載した講談社と、そのノンフィクション作品の一つである石井光太氏『遺体 震災、津波の果てに』を出版した新潮社との間で、論争になっています。
この問題は、「参考文献の記載漏れ」という形式的なものなのか、
「著作権侵害」という法的なものなのか。
まず、著作権侵害になるかどうかは、かなり微妙です。
その詳しい事情は、著作権問題の第一人者ともいわれる福井健策弁護士の解説が分かりやすいです。
↓
芥川賞候補作「美しい顔」、ノンフィクションとの類似表現が独自検証で10か所超 それでも”著作権侵害”を問うのが難しい理由(HUFFPOST)
実際に著作権侵害に該当するかどうかは、両者の間の「似た表現」を、一つ一つ、裁判所が判断しなければなりません。
それでも、著作権を侵害していると言い切るには、かなりハードルが高いように感じます。
※具体的な表現の比較はここにもあります。
↓
芥川賞候補「美しい顔」類似表現騒動、出版業界の甘さ露呈 被災地に一度も入らず執筆の新人のマナーは…(産経新聞)
これについて、講談社と新潮社が、それぞれコメントを発表しています。
著者コメントもあります。
■講談社
群像新人文学賞「美しい顔」に関する「経緯のご説明」を公開いたしました。こちらをご覧ください。
■新潮社
「群像」8月号、 『美しい顔』に関する告知文掲載に関して
ここに書かれてある経緯を見て、出版社にて書籍制作に携わっていた、私自身の意見を書いておきます。
結論から言えば、
「著者と編集者の未熟さ」
が原因だと思います。
著者はまだ新人。
そうすると、“参考文献”の書き方などは、分からないことが多いでしょう。
しかしそれを公の場に出すならば、問題を解消してから掲載するように整えるのは、編集者の役目。
この[編集者」の役割が、今回は、充分に果たされていないと感じました。
やるべきことが分からない作家に対し、編集者が適切にフォローしていれば、参考文献問題などは、すぐに解消できたはず。
でもそれ以上に考えてフォローしなければならなかったのは、ノンフィクション作品の作者と、取材対象となった被災者への配慮ではなかったでしょうか。
ノンフィクション作家が被災者からコメントを引き出すには、相当な苦労があったはずです。
さらにその人だからこそ、被災者も信頼して作品への掲載を認められたのだと思うのです。
それを、見ず知らずの第三者が勝手に使ったとなれば、たとえ法律上の問題がなかったとしても、憤慨するのは当然です。
編集者としては、それくらい想像できると思いますので、著者に伝え、当事者に連絡しておく等の配慮はできたはずです。
そういうフォローもせず、そのまま発刊してしまったのが、法的な問題以上に、大きかったと思います。
ところで、今回の事件を通じて、ネット上では様々な憶測が飛び交っています。
中でも、似通った表現に対し、「パクリ」「著作権侵害」だと言って怒っている人が多いです。
↓
芥川賞の候補・北条裕子「美しい顔」のパクリがヤバイ!震災小説で現地にも行ったこともなく盗作しまくりの問題作が大炎上!
確かに、両者を比較してみると、「パクリ」と言える箇所が多数あります。
ただし、それがそのまま「著作権侵害」だと言えないことは、上記福井弁護士の解説でもお分かりのとおりです。
しかし、似ているからと言って、すぐにつるし上げ、違法だ、犯罪だと言わんばかりの論調は、私はどうしても違和感を覚えてしまいます。
相手があることについては、相手を尊重しつつ、表現の多様性を認めることは重要です。
問題がないわけではありませんが、それを克服しつつ、社会に新たな価値を届けてもらいたいと思います。
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遺言執行者は自分以外の人に依頼できます
2018年7月13日 遺言
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これまで、遺言執行者は、その任務を、あくまで自分自身が行う必要がありました。
例外的に、やむをえない事情がある場合に限って、誰かに依頼できる、という決まりでした。
【現在の民法】
(遺言執行者の復任権)
第1016条 遺言執行者は、やむを得ない事由がなければ、第三者にその任務を行わせることができない。ただし、遺言者がその遺言に反対の意思を表示したときは、この限りでない。
2 遺言執行者が前項ただし書の規定により第三者にその任務を行わせる場合には、相続人に対して、第105条に規定する責任を負う。
これが、今度の民法改正で、大きく変わります。
「やむを得ない事由がなければ」という縛りが外れ、「自己の責任で」別の人に任務を行わせることができるようになります。
【改正後の民法】
(遺言執行者の復任権)
第1016条 遺言執行者は、自己の責任で第三者にその任務を行わせることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
2 前項本文の場合において、第三者に任務を行わせることについてやむを得ない事由があるときは、遺言執行者は、相続人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う。
遺言執行者は、親族が就任する場合も多くあります。
ただ、遺言執行者の体調の問題や、専門知識が要求される手続きがある場合などは、その人だけでは、「正直、手に負えない」ということもあるでしょう。
そんなとき、専門家の助けを借りたい、ということもあるでしょう。
今回の改正によって、自分が遺言執行者に就任した場合でも、専門家に手続きを依頼することがやりやすくなります。
こんなとき、行政書士もお手伝いさせていただきます。
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遺言執行者の権限が明確になりました
2018年7月12日 遺言
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民法1014条は、次のように改正されます。
(特定財産に関する遺言の執行)
前3条の規定は、遺言が相続財産のうち特定の財産に関する場合には、その財産についてのみ適用する。2 遺産の分割の方法の指定として遺産に属する特定の財産を共同相続人の1人又は数人に承継させる旨の遺言(以下「特定財産承継遺言」という。)があったときは、遺言執行者は、当該共同相続人が第899条の2第1項に規定する対抗要件を備えるために必要な行為をすることができる。
3 前項の財産が預貯金債権である場合には、遺言執行者は、同項に規定する行為のほか、その預金又は貯金の払戻しの請求及びその預金又は貯金に係る契約の解約の申入れをすることができる。ただし、解約の申入れについては、その預貯金債権の全部が特定財産承継遺言の目的である場合に限る。
4 前2項の規定にかかわらず、被相続人が遺言で別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
赤字の部分が、改正による追加条項です。
黒字部分には変化ありません。
新たに加わったことによって、遺言執行者の権限が明らかになりました。
第2項で書かれている「第899条の2第1項」とは、これも新しい条文です。
(共同相続における権利の承継の対抗要件)
相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条及び第901条の規定により算定した相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない。
2 前項の権利が債権である場合において、次条及び第901条の規定により算定した相続分を超えて当該債権を承継した共同相続人が当該債権に係る遺言の内容(遺産の分割により当該債権を承継した場合にあっては、当該債権に係る遺産の分割の内容)を明らかにして債務者にその承継の通知をしたときは、共同相続人の全員が債務者に通知をしたものとみなして、同項の規定を適用する。
これがあるから、1014条で「対抗要件」が出てくるのですね。
遺言に書かれているとおりのことを実現させるために、「必要な行為」をすることを認められます。
そして第3項で、遺言執行者が特定財産の預金・貯金の払い戻し及び解約ができることが明示されました。
これによって、相続手続きは楽になります。
ただし、遺言で指定しておくことが前提です。
特定されているので、遺言執行者が手続きを行うことで、トラブルは少ないと考えられますしね。
だからといって、必ずしもそれが遺言者の意思ではない場合もあるので、あくまで遺言者の意思が明示されているものに従うことになります(第4項)。
どこまで、何ができるのかを、分かりやすくする方向ですね。
歓迎します。
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法人設立に時間がかかる月は?
2018年7月11日 法人設立
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法人は、設立登記を申請し、完了した時点で、成立します。
通常、申請から1週間弱で登記完了し、登記事項証明書(登記簿謄本)等を取得できるようになります。
ところが、時期によって、かなら時間がかかることがあります。
今回も、7月2日付で登記申請した一般社団法人が、今日になってようやく完了しました。
7月2日は月曜日でしたので、通常は金曜日くらいに終わることが多いのですが、9日間、かかりました。
4月上旬に登記申請した一般社団法人で、約3週間かかったケースもありました。
どれくらいの時間がかかるかは、法務局の混み具合によります。
4月は年度初めなので、登記申請が集中し、混むのは分かります。
担当者の異動等もあるでしょう。
7月上旬は、6月末の株主総会の結果、登記申請が増えるようです。
登記手続きを依頼した司法書士(登記申請は司法書士の業務です)にも、何度も催促してしまい、申し訳なかったのですが、
「4月と7月は注意」
と、いい勉強になりました。
法人設立を考えている方、これらのスケジュールも計算に入れておきましょう。
■法人設立の流れ
1,打ち合わせ、印鑑登録証明書の用意
2,定款作成(株式会社や一般社団法人では公証役場での認証が必要)
※ここまでは、行政書士として担当します
3,登記 ※司法書士に依頼
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遺言執行者に対し、相続人が妨害したらどうなる?
2018年7月10日 遺言
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「遺言執行者」は、遺言の内容を実現させる人です。
※遺言執行者についてはこちら
↓
「遺言執行者」が、より責任ある立場になります
では、他の相続人が、遺言執行者の邪魔をしたら、どうなるのでしょうか?
これを定めたのが、民法1013条です。
(遺言の執行の妨害行為の禁止)
第千十三条 遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。
今度の民法改正で、この後に、2つの条項が追加されます。
2 前項の規定に違反してした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
3 前二項の規定は、相続人の債権者(相続債権者を含む。)が相続財産についてその権利を行使することを妨げない。
これによって、邪魔をした場合は「無効」であることが明確に規定されたわけです。
しかし、次のような場合はどうでしょうか?
遺言執行者以外の相続人Aが、相続財産の中にあった貴重な骨董品を売却し、買い取った骨董屋さんが、海外から来たコレクターに高額で転売しました。骨董屋さんは、よい商売ができたと喜んでいます。
この行為は、遺言の内容とは異なっていて、その骨董品は別の相続人Bが受け取るべきものでした。
これによって、遺言執行者は、遺言の内容を実現させることができません。
こういう場合に、上記の民法の規定で考えてみると、相続人Aの行為は当然、無効ですね。
では、骨董屋さんはどうなりますか?
せっかくよい物を仕入れて、利益を上げることができたのに、いきなり「無効だ」と言われても困りますよね。それに、その品は、海外に渡ってしまっています。
それでも骨董屋さんは、返さなければいけないのでしょうか?
そこで、新たに追加される条文を見てみると、「善意の第三者に対抗することができない」とあります。
すなわち、相続人Aの売却行為は、遺言の内容に反する等の事情を知らない骨董屋さん(これが「善意の第三者」です)には、対抗できません。
ですから、骨董屋さんが行った売買行為は、正規の取引として、実現するのです。
そうなると、本来相続するはずだった相続人Bの手元には戻ってこないことになります。
これをどうやって解決するかは、別の問題です。
骨董屋さんのように、正当なものだと信じて取引した相手にまで、相続人Aの行為の影響を及ぼすのは、酷だということですね。
こういう問題が起きないよう、遺言執行者は、できるだけ速やかに執行したほうがいいでしょうね。
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